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「未来~!」
「理沙、ごめ~ん!」
待ち合わせをしていた理沙に手を振る。
「待たせてごめん。」
「もしかして、また告白?」
さすがは親友。
よくわかってるね。
私は曖昧に微笑んだ。
「あんた、贅沢過ぎるんだよ!
いいかげん妥協しないと、行きそびれるよ。」
「大丈夫よ。まだ若いもん。」
「そんなこと言ってるうちに、あっという間に歳とるわよ。」
「もうっ!しつこいってば!」
理沙とは中学の頃からの親友だ。
私は男子にはよくモテたけど、同性からはあまり好かれなかった。
理沙だけが、私と親しくしてくれた。
私にとっては、かけがえのない友達だ。
務めてる会社が近いから、こんな風に待ち合わせて、一緒にご飯を食べたり、ちょっと飲んだり。
理沙がいるから、私は彼氏が欲しいと思わないのかな?
理沙がいてくれたら十分だもの。
*
「じゃあ、またね。」
「気を付けてね!」
理沙とは駅で分かれた。
今夜は、調子に乗って、ちょっと飲みすぎたかな。
電車に揺られて眠ってしまいそうになるのを懸命に堪えて、ようやく最寄り駅に着いた。
駅からアパートまでは、歩いて約10分。
あぁ、眠い…
(……あれ?)
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