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「あ、今めっちゃあたしのこと怪しんでるよね? えらいえらい。そうゆうとこしっかりしとかなきゃね」
頭の片隅で匠海に助けを求めるべきかと考えていたのを見透かされたようで、思わず身体がびくっとしてしまった。
「まあねーちゃんさえ帰ってくればねー……まさかこの状況で玄関の鍵開けてくれとも言えないしさ。どうしよっか?」
どうしようかと言われても、といよいよ鞄のポケットのスマホを握ろうとしたとき、車のエンジン音が聞こえてきた。
目をやれば、勇海さんが運転する軽トラだった。助手席に真咲さんが座っているのが見える。
「お、噂をすれば」
金髪女性がラッキーと笑う。
さざなみ荘の敷地に少し入ったところで止まった軽トラから、真咲さんが勢いよく下りてきた。
「真雪、なんでこんなところにいるの」
その顔は心底驚いている。
「ね、ほんとに家族だったでしょ?」
真雪と呼ばれた彼女はそう言って私にへへんと胸を張る。私は返事もままならず、曖昧に二人の顔を見比べただけだった。
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