道を辿る

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道を辿る

 生成色に艶めく紙に残された文字を指でなぞる。  本という形に収められたページという名の大地に、多くの物語が宿る。  活字で表される誰かの物語は、どうやって産まれたのだろう。これを記した人間は、何を見て、何を聞き、どの様な道を辿ってきたのだろう。  私は物語に浸る時、よくその様な考えに想いを馳せる。  よく国語の授業などで『この時の作者の気持ちを考えなさい』といった問題が出題されるが、あれは私に近しい人間が考えた問題なのだろう。  活字とは、文字とは、その人の歩んできた道だ。  日々を過ごす上で、前を向いて歩かない限り書けないものだから。
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