Ⅰ 妹

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 「...私がやった。」  私はそう答えた。二人とも、私を見たまま口を閉じた。  「私がやったの。陽は関係ない。」  「意味がわからないわ。あなたはここでしゃがんでいたじゃない。」  お母さんは言う。そう、誰がどう見ても、これは私ではなくハルの仕業だろう。でも私は諦めない。  口で説明するよりも見せた方が早いと思い、私は右腕を伸ばして手のひらを地面に向けた。集中しながら右手に力を流す。すると床に散らばっていたガラスが集まって来、私の手が向く所に全部集まった。暗くて何も見えないだろうと思ったので、次に手のひらを電球の方に向けた。そこに熱を送るイメージをしながら力を注ぐと、ぱっと明かりがついた。照らされた部屋の一箇所に集まったガラスの破片。周囲を見渡し電球に目をやると、酷く荒れた痕跡が目に見えてわかる。それを見て、改めてハルの力を思い知る。
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