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外はいい天気だった。初夏の気温は確かに暑く、少しはしゃいだだけで喉が渇いてくるようだった。そんな条件だからハルもすぐに疲れて家に帰ると言いだすだろうと私は思っていた。お母さんを後ろに、ハルははしゃぎっぱなしで飛び跳ねている。外が楽しい反面ハルがどこかに行ってしまわないよう追いかけるのに必死だった。
「もういいんじゃない?」
玄関を出て路地を進み、車の通る道脇に差し掛かった時お母さんが後ろで言った。確かに道路から白線で仕切られたこの道はとても細く、興奮しているハルには危険だ。でももう少し行けば広い歩道になる。それを知っているはずのお母さんは、どうやらこれ以上進みたくないようだ。せっかく外に出られたのに、五分も歩かず家に戻るのは満足出来ない。そうは言っても融通を聞いてくれたお母さんの言うことに反抗するのも気がひける。ここはお姉ちゃんらしく我慢して、お母さんの言うとおりハルを説得して家に戻ろう。そう考え、私はうんと返事して前を行くハルの腕を掴んだ。
「ハル。もう帰ろ。」
私が言うと、ハルはピタッと動きを止めてこっちを振り返った。その顔はとても不満そうだった。
「ハル。お外暑いから。お家は涼しいよ。」
するとハルは私が掴んでいた腕をバッと振り払った。
「やだ!!!!」
こうなることは予想していた。だから私は次の手を使った。
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