Ⅰ 妹

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 何も見えない中ハルと毛布の温もりだけを感じていると、物音が外を騒がせていた。お父さんとお母さんが何かをしているんだろうと思うと自然と怖い気持ちはなかった。しばらくその音を聞いていると今度は地面が動いたような感覚と共に揺れを感じた。外では湖面が動く音がする。やっぱり私たちが今いるのはボートの上で、みんなで静かな夜にそれに乗ってるんだろう。ああ、楽しいな。みんなでお出かけ。子どもだから夜は起きてられないけれど、隣にいるハルの寝息は聞こえてくる。静かなのは寝てる時だけだけど、やっぱりハルは私の大切な家族だ。もちろんお父さんとお母さんも。私はずっと大好きだ。
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