Ⅰ 妹

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Ⅰ 妹

 物心ついた時、私は自分が変だということに気がついた。触れずに物を動かせたり、怒った拍子に物が壊れたり。私の両親は全て偶然だと片をつけるけど、私はそうは思わない。私の中でいつも何か得体の知れない力が湧き上がってくる。それが放たれた時、そのが起きるのだ。でも私は知っている。これは普通じゃない。他の人には出来ないことをするのは変だということくらい、幼い私でも重々理解していた。だから私は必死にそのことを隠して生きていた。もちろん両親にも知られないように。  私が三歳になった時、妹が生まれた。清純な人に育ってほしいと私が「(じゅん)」と名付けられたのに対し、朗らかで優しい人になってほしいと願いを込めて妹は「(はる)」と名付けられた。私はハルのことが大好きだった。ハルが笑う度その笑顔に暖められる気がした。どんなに嫌なことがあってもハルの笑顔を見ると全部吹き飛んでしまうようだった。
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