Ⅰ 妹

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 「明日、明るくなったら探検しようよ。きっと楽しいよ。」  風邪をひかないように毛布でしっかり包んでハルを木にもたれさせた。ハルが微笑んで頷いたのを見て私も少し安心する。  「ねえねも。」  するとハルは、自分が包まれてる毛布のもう片方の端を持って私にかけようとしてきた。どうやらハルは私に気をつかってくれているようだ。私は笑ってありがとうといい、ハルにくっついて私も毛布にくるまった。二人とも体が小さいおかげで私たちは一緒に温まることができた。  「ハルはいい子だね。」  自我が強くてわがままで、落ち着きのないハルだけど、ハルはとても優しい子だということは私が一番知っている。お母さんに叱られた私を慰めてくれるのはいつもハルだし、大好きなおやつもハルは私に分けようとしてくれる。何よりハルの笑った顔は世界一暖かい。世界から見放されても、私はハルがいればそれでいい。自分の力は特別だと知った時、ハルもきっと私と同じように思う日が来るのだろう。このままずっと二人で生きていくのも悪くないかも知れないと、ハルの手を握りながらそう思った。
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