II おじいさん

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 ご飯を全部食べ終えてごちそうさまをして、私は片付けを始めた。こういうことは家では当たり前だったのだが、そんな私を見ておじいさんは感心したようにとても褒めてくれた。他の子はこんなことしないのかなと不思議に思ったが、褒められたことに私は照れと喜びを感じた。  片付けを終え、お茶を出すよと言ってくれたので言葉に甘えて私は再び椅子に戻った。出してくれたお茶はおじいさんが育てている茶葉からできたものだそうで、さっぱりしていてとても飲みやすかった。おじいさんは野菜もたくさん育てているそうで、後で見せてもらうことを約束した。  お茶を啜ってゆっくりしていると、おじいさんは突然難しい顔をした。さっきロッジの外で見た顔だ。もしかすると、さっき飲み込んだことを言おうとしているのだろうか。気になる私はおじいさんの顔をじっと見た。  「あのな、ジュンちゃん。言わなければいけないことがあるんじゃよ。」  おじいさんは硬くなった口を何とか動かしてそういった。私はテーブルに置いた湯呑みを両手に収めたままおじいさんを見続ける。  「言わないわけにはいかないんじゃ。でもこれはジュンちゃんを深く傷つけることになるじゃろう。覚悟して聞いてもらえるかな?」  言いにくそうに言ったおじいさんの言葉に、私はゆっくりと頷いた。おじいさんは一つ大きな息を吐いて、ようやく話し始めた。
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