II おじいさん

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 重い空気の中、私は思い切ってこの場所のことを聞いてみた。もしかすると、ここは私たちのような異常者を捨てて怪物の生贄にするところじゃないかと疑ったからだ。おじいさんは言った。ここでは時折喰われた人の死体が見つかると。その年齢層としては様々だが、私たちのような子どもと高齢者が特に多いという。それを聞いて私の予想はほとんど事実だと思い知らされた。やっぱりお父さんとお母さんは私たちをここに捨てたのだ。こんな厄介な子どもを背負いきることが出来ないと、二人は私たちを手放した。  大好きな妹を亡くした哀しみと、両親に捨てられた苦しみ。  その両方が一気に襲ってくるともう何もかも全て終わってしまったような絶望感に陥った。  私は本当にひとりぼっちなんだ。  怪物に喰われるはずだった私はこうして生き残ってしまった。  そのせいで、私は今この状態にある。  そのせいで…
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