II おじいさん

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 私がぼうっとそのナスを見ていると、おじいさんは小さなそれに触れ、花に触り茎を撫で下ろした。次にそれが植えられている地面に手をつける。何をしているのかと見ていると、ぐっとその手に力を込めたのを見た。  「ナスを見ていなさい。」  言われるままにそれをじっと見ていると、驚くことが起こった。ナスについていた傷が段々と消えていき、色の悪かった部分は生き生きとした紫に輝いた。未熟だったナスは、次第に大きくなっていった。  通常の大きさにまでなったナスを見届けて、おじいさんは地面から手を離し土を払った。  「あともう少し、自然に任せると美味しくなるよ。」  おじいさんは言った。    「今のって…」  目を丸くして私はおじいさんを見た。おじいさんは優しく微笑んでいた。  「魔法じゃよ。ジュンちゃんも同じ力を持っておろう。」  魔法…
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