II おじいさん

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 話を聞くとこのおじいさんは学を積んでたくさんの魔法を使えるようになったという。私は何となくで色んな力を使ってきたが、正しい力の使い方も、何が出来て何が出来ないかも、何も知らない。だから私は思い切っておじいさんに言った。  「あの...迷惑じゃなければ、私の先生になってもらえませんか?」  私が言うとおじいさんはにこっと笑った。  「学ぶ欲があるのはとてもいいことじゃのう。もちろんじゃよ。まずは力のコントロールが出来るようになろうかのう。」  そう言われ、私はこれまでのことを思い出した。ハルを助けるために車を正面から止めてしまったこと。ハルを食べた怪物を殺したこと。きっとおじいさんは私が森を荒らしたことに気がついている。これまでにない憎悪のせいとは言え、自らコントロールせず怒りに任せて力を使えば確かに危険が伴う。おじいさんの意図を汲み取った私は、「はい」とまっすぐな返事を返した。  こうして私はおじいさん、いや、先生との生活を始めるようになった。
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