Ⅰ 妹

8/26
前へ
/43ページ
次へ
 「...今の何?」  我に返ったお母さんが、私の後ろで言った。  「ハルが叫んだら...割れたよな。」  尚も泣き続けるハルを抱えたまま、お父さんが言った。  「違うよ!!!」  私は勢いよく立ち上がって咄嗟に声を上げてしまった。二人が暗がりの中一斉に私を見た視線を感じる。  「何が違うの?純。」  お母さんが言う。私は何と言えばいいかわからずにまごついてしまった。すると後ろにいたお母さんが近づいて来、私の横にしゃがんで顔を覗き込んできた。  「純。何か知ってるの?あなた、いつも陽と一緒にいるわよね?何か隠してるなら正直に言いなさい。」  言えるわけがない。私たちは人とは違うなど。  そんなこと言ったら絶対に嫌われる。  私はともかく、陽だけは...  
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加