翔ちゃんの嫉妬

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翔ちゃんの嫉妬

 胸の先を苛められて、僕は熱くて堪らない。この燃えるような熱を吐き出したい。僕が翔ちゃんのスエットを引っ張り上げて脱がそうとすると、翔ちゃんは顔を上げて無言で起き上ると、僕に跨ったまま自分で脱いで上半身裸になった。 無駄な贅肉など無い鍛えられた身体は、僕の目を楽しませてうっとりさせた。着痩せするのか想像よりずっと逞しい。僕は指を伸ばして翔ちゃんの割れた腹筋をなぞった。 「…かっこいいね。僕もこんな身体なら良いのに。でもきっとこうはならないよ。僕はそこまでストイックにはなれないし、怠け者だから。」  肌に触れている僕の指先を掴んだ翔ちゃんは、かがみ込んで顔を寄せた。 「二人で硬い身体じゃ気持ち良く無いだろ?俺は侑の柔らかい身体好きだよ。俺と違って白くて綺麗だ…。」 そう言ってもう一度僕の胸にキスした。僕はまたあの焦れつくような熱で熱くなるのかと慌てて翔ちゃんに言った。 「翔ちゃん、そこだけじゃなくて…。分かるでしょ?一緒にしよ?」 その瞬間、翔ちゃんの顔が強張った気がした。僕は自分でも下手こいたと、気が付いてしまった。  翔ちゃんは多分男同士でこんな風にイチャイチャするのは初めてだろうけど、僕が経験者の様に強請ったからきっと嫌な気持ちになったんじゃ無いかな。 恐る恐る翔ちゃんの顔を見上げると、翔ちゃんは僕の肩に額をつけてため息を吐いた。 「…ごめん。今、侑の経験に嫉妬した。俺は年上なのに侑の事リードしてやれないなんて、ちょっと凹む。」 何でも生真面目な翔ちゃんらしいと言えばそうだけど、これは付き合うカップルにとっては不味い状況だよね?僕は肩に触れる翔ちゃんの短い髪の間に指を差し込みながら、思わず呟いた。  「…僕だって翔ちゃんが歴代彼女達と何したのかって考えると胸が焼けるよ。でも過去のことはどうしようも無いよね?僕はこれから翔ちゃんがどれだけ僕と一緒に楽しい時間を過ごしてくれるかって事に、とっても興味あるな。翔ちゃんは興味ない?僕とのこれから。」 すると翔ちゃんは顔を上げて、困った様な表情で僕をじっと見つめた。 「年の差なんて関係ないみたいだ。侑は俺よりずっと大人だ。ごめんな、どうしようも無い事言って。」 僕はクスクス笑いながら、翔ちゃんの首に手を掛けて引き寄せた。 「許してあげる。翔ちゃんが僕の望む事してくれたらね?」 翔ちゃんの手が僕のズボンを脱がせるのを感じて、僕は自分で誘ったくせに、急に心臓が苦しくなった。ああ、翔ちゃん!
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