あーちゃん

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 ままの おむかえは いつもより はやかった。  ままは いつもみたいに すぐに くらすに こないで、しょくいんしつに はいって いった。  ぺこぺこ あたまを さげて いる ままの かげが まどに うつって みえた。  あーちゃんは、おかえりの したくを して、うわぎを きて、くつを はいて、どろだんごを もって ままを まっていた。  おといれに いきたい かんじが したけど、ままを またせると おこられるから やめた。  しょくいんしつから ままが でてきた。  えんちょうせんせい みたいに、まゆげとまゆげの あいだに しわしわが なんぼんも できていた。  あーちゃんは おだんごを ままに みせようと おもって、ぎゅうにゅうぱっくを もった みぎてを ままの ほうに のばした。  ほら、これ、あーちゃんがつくったんだよ。  うんと にっこりの おかおで いおうとした とき、  ままの みぎてが あーちゃんの ほっぺたに とんできた。  ぱあんと たかい おとが した。  ほっぺが じいんと あつくなって、  からだが ななめに なって、  ぎゅうにゅうぱっくと おだんごが てから はなれて、  ほんの すこうし そらを とんで、  おつきさまよりも まんまるで、てつのたま みたいに かたくて、くろくて、つるつるで、ぴっかぴかだった あーちゃんの どろだんごは、  ろうかの まんなかに おっこちて、よっつに われて、  しろっぽくて かさかさした ただの つちの かけらに なった。
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