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シュクレドールと天秤の関係
全て物事はバランスが大切である。
高2女子にとってそれは部活と勉強であったり、勉強と恋愛であったり、恋愛対象との釣り合いであったりする。
竹原 夢はふぅとため息をついた。
どう考えても釣り合わない。
彼女の視線の先には中口 千秋が居る。
彼はいわゆる王子様タイプ。
目立たない子や女の子に優しい……だけでなく、見目も麗しい。
窓際で友人と話しているその姿の前では差し込む日光すら引き立て役だ。
少しだけ茶色の髪は光に透けて輝き、スッキリしたフェイスラインと切れ長の瞳がキリッとした印象を与え、知的な長い首が学ランの襟に映える。
夢は自らの容姿を考えてもう一度嘆息した。
彼女とてそう不美人なわけではない。
もっちりとした手触りのいい白い肌、栄養の行き届いた艷やかな黒髪。
愛嬌のある顔立ちは癒やし系で愛らしい。
しかしながらこと現代において著しく好まれない要素が一つだけ。
可愛らしくいえば「ぽっちゃり」、悪く言えば世にいう「デブ」の部類であるということ。
彼女はそれについて小学生頃から男子にブタだのデブだのとからかわれ続けた結果、自己評価が大変に低い。
勿論年頃らしく何度も減量に励んだのだが、いずれも多少の変動のみで失敗続きだ。
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