【4P】跳ぶ人

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僕は、あの日のことを思い出していた。 そう…あの日もさっきと良く似たシチュエーションだった。 僕は、横断歩道のない所を横切っていて… そこに、大きなトラックが迫り、僕は咄嗟のことに、体が動かなかった。 僕は死ぬ… ここで、僕は死ぬんだ。 一瞬の時に、そう覚悟した。 だけど…トラックにぶつかるその瞬間… 反射的に瞼を閉じて、次に開いたら、僕は歩道にいた。 そう、僕はあわや…という瞬間に、ワープしたんだ。 信じられないことだったけど、そう考えないと辻褄が合わない。 本当に驚くべき体験だった。 しかし、それで終わりではなかった。 その後、僕に特殊な能力が備わったのだ。 命を落としかけた瞬間、僕は安全な場所にワープ出来るようになっていたのだ。 その能力に気付いたのは、ある偶然からだった。 町を歩いていた時、僕の前を歩いていた女性の上に、工事中の現場から鉄骨が落ちて来たのだ。 「危ない!」 そう叫んだ次の瞬間、僕は女性の傍にいた。 真上からは鉄骨…僕は、女性をかばうようにして最期の時を待った。 ところが、大きな物音の響く中…僕と女性は無傷だったのだ。 僕達は、鉄骨が落ちた場所から少し離れた場所にいた。 確かに、鉄骨は僕たちの真上から落下していたのに… そう…僕はまたワープしたのだ。 僕自身のことでなくとも、誰かが命を落としかけた場合に限り、僕はワープが出来るようになっていたのだ。
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