【4P】跳ぶ人

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「うっ……」 「坂本さん…?気が付いたのですか? 坂本さん!」 僕は、体に走った酷い痛みに顔を歪めた。 不思議な事に、僕はベッドに横になっていた。 「坂本さん!わかりますか?」 「え…何が…?」 「覚えていないのですか? あなたはトラックにはねられ、半年もの間、意識がなかったのですよ!」 「え…?」 呆然とする僕には構わず、医師はいろんな事を話し続けた。 トラックにはねられた僕は、瀕死の重傷を負い、この半年間は所謂植物状態で、意識が戻ったのは奇跡のような事だと言われた。 つまり…僕がワープしたのは… 眠ってる間に見た妄想…夢だったのだ。 考えてみれば確かにおかしい。 そんな特殊な能力を、僕が使える筈なんてないんだ。 (全く馬鹿馬鹿しい夢を見たものだ。) 苦い笑いがこぼれた。 僕は、それから順調に回復し、三か月程して退院した。 その後、一か月程してから、仕事にも復帰した。 * 「お兄ちゃん!」 ある時、近くのスーパーに向かっていると、僕の元へ小さな女の子が駆け寄って来た。 「危ないから走っちゃだめよ!」 子供の後を母親らしき女性が追いかける。 「お兄ちゃん、この前はありがとう!」 「ありがとうって……何が?」 「私のこと、助けてくれたじゃない。」 「えっ!?」 言われてみれば、なんとなくその子供には見覚えがあった。 「助けるって…?」 「ほら、ひながトラックにひかれそうになった時、お兄ちゃんが来てくれて、魔法で…」 (魔法……?) 「陽菜ちゃん!変なこと言っちゃだめでしょ! すみません。おかしな事を申しまして。」 「変じゃないもん! ひな、本当にこのお兄ちゃんに助けてもらったんだもん!」 「はい、わかったから行くわよ。 失礼します。」 (……え??) 僕は、混乱したまま、母子の後ろ姿を呆然とみつめるしかなかった。
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