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「うおおーい! 待てえぇ! お前らあぁ!!」
そのとき、どこからともなく怒号が飛んできた。
ふたりで振り返ってみると、口髭を生やしたグラサンのおっさんがこちらに向かって走ってくる。
え? どういう状況?
俺は警察官、彼は泥棒改め黒装束のボランティア(仮)。それを鬼の形相で追っかけてくる不審なおっさん。
しかも、「お前」じゃなくて、「お前ら」……複数形だ。ザ・不審者の格好の彼だけじゃなくて、警察官の俺まで含まれるってことになる。
警察官なのに、追いかけられるの?
え? まじで、どういう状況?
しかし、じっくり考える間もなく、おっさんが迫ってくる。
「に、逃げろー!!」
堪らず叫び出す彼。
反射的に一緒に逃げる俺。
おっさんは思った以上にしつこく、俺たちを追っかけ回した。
なぜこんな状況になってしまったのかは分からない。しかし、この状況なんとか打開したい。
走りながら、何か使えるものはないか体中を弄ると、懐に固いものが触れる。
俺は警察官……となると拳銃か。
威嚇射撃をすれば、相手の動きを止めることができるかもしれない。
懐のものを取り出し、すかさずおっさんに向ける。
「動くな! さもなければこいつを……」
しかし、掲げたそれを見て俺は唖然とした。
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