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俺が懐から取り出したもの……それは、透明な細い瓶で、中には紫色の液体が入っている。
何これ? 毒?
魔女が鍋で作ってるやつじゃん。
なんで俺、こんなもの持ってるの?
パニックになりながら瓶をよく見てみると、表面にラベルが貼ってあって、ゴシック体で文字が書かれている。
『元気が出るドリンク』
「お巡りさん! 早くそれ飲んで敵をやっつけて!」
「なんでそうなるんだよ!? 誰が飲むか!! こんな飲み物!!」
「じゃあ俺が飲むっ!!」
「は!?」
驚いているのも束の間、彼は俺から怪しいドリンクを取り上げ、一気に紫色の液体を飲み干した。
「うおー!! 力が漲ってきたぞおお!!」
彼はそう叫んだ後、俺たちを追いかけてきたおっさんに向かって走り出した。その姿があまりに異様だったのか、おっさんは彼を見るや来た道を全速力で逃げていく。俺は慌ててふたりを追いかけた。
先頭を走るはおっさんこと口髭グラサン。それを追いかける彼、黒ボランティア。黒ボランティアは、口髭グラサンにじりじりと迫っていく。口髭グラサンは早くも失速。ここで口髭グラサンが懐から何か取り出す。
こ、これはっ! 例の! 紫色のドリンク! お前も持っていたのか、口髭グラサン! そして、その正体不明のドリンクを一気に飲み干したー!! 口髭グラサン、加速!! 黒ボランティアとの距離がどんどん開いていく!! 黒ボランティア、必死に喰らいつくが、その距離は縮まらない!! おおっと! 口髭グラサン、ここに来て失速! 口髭グラサン、お腹を押さえている! 走りながらの一気飲み、さすがに体に堪えてしまったか? その隙に黒ボランティア、加速!! 黒ボランティア!! 黒ボランティア追い上げる!! 口髭グラサン必死に逃げる!! だが、黒ボランティアは失速しない!! ここでついに並んだ!! 勝つのは口髭グラサンか? 黒ボランティアか? 黒ボランティア、口髭グラサンより頭ひとつ分前へ……行こうとしたところだったが、ここでふたりとも倒れ込んだー!! まさかの、同時ゴールだああ!!
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