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「だ、だ、だから……その、コイツを大事にしなかった母親がなんかムカついて」
「それでまだ寿命があるのに意地悪したのね。もう……」
結局、ルナはすべての分かれ道で間違った選択をした。おそらくこの先の人生、命はあっても死んだ方がましとも思える道を辿るだろう。
「でもあれで気が済んだ。ってか、肝心のコイツが許してんだから、もういい。……あ」
二人の間で、ティナの魂がユラリと身体から浮き上がった。それは薄青のぼんやりとした光を放っている。
その光に手を伸ばし、ゼロがそっと掌の中に収めた。
「ほらよ、ティナの魂」
「うん……」
少女がそれを受け取り、現れたカンテラの中にそっとしまいこむ。
「ゼロは……どうする?」
「もう少しだけコイツの傍にいる。お前はサッサとそれを運べ。もたもたしてるとまた上にドヤされるぞ」
「うん」
魂を入れたカンテラを持って、少女はこの世から消えていった。
与えられた命を精一杯生きたティナ。その亡骸の傍に、死神の下僕でもある愚者が残り……。
「なあなあティナ……。あいつ、カップルの意味わかってないと思わないか? あいつってニブいっていうか、察しが悪すぎてさ……いや、そこがまた可愛いっていうか……まあ、うん」
日頃の愚痴をティナにぶちまけていた。
【END 13番めのアルカナーfork in the roadー】
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