13番目のアルカナ ーfork in the roadー

12/12
前へ
/12ページ
次へ
「だ、だ、だから……その、コイツを大事にしなかった母親がなんかムカついて」 「それでまだ寿命があるのに意地悪したのね。もう……」  結局、ルナはすべての分かれ道で間違った選択をした。おそらくこの先の人生、命はあっても死んだ方がましとも思える道を辿るだろう。 「でもあれで気が済んだ。ってか、肝心のコイツが許してんだから、もういい。……あ」  二人の間で、ティナの魂がユラリと身体から浮き上がった。それは薄青のぼんやりとした光を放っている。  その光に手を伸ばし、ゼロがそっと掌の中に収めた。 「ほらよ、ティナの魂」 「うん……」  少女がそれを受け取り、現れたカンテラの中にそっとしまいこむ。 「ゼロは……どうする?」 「もう少しだけコイツの傍にいる。お前はサッサとそれを運べ。もたもたしてるとまた上にドヤされるぞ」 「うん」  魂を入れたカンテラを持って、少女はこの世から消えていった。  与えられた命を精一杯生きたティナ。その亡骸の傍に、死神の下僕(しもべ)でもある愚者が残り……。 「なあなあティナ……。あいつ、カップルの意味わかってないと思わないか? あいつってニブいっていうか、察しが悪すぎてさ……いや、そこがまた可愛いっていうか……まあ、うん」  日頃の愚痴をティナにぶちまけていた。 f4f89766-687e-4e02-b668-3fc3748b97e5 【END 13番めのアルカナーfork in the roadー】
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加