13番目のアルカナ ーfork in the roadー

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※~※~※ 「……っ!」  目を覚ますと室内灯の明かりがやけに眩しくて、ルナは目を瞬かせた。 「やだ……なんか、夢見てたような……」  とはいえ、内容は思い出せない。ただザワザワとした落ち着かなさだけが残っている。 「……あ! もう八時過ぎてんじゃん! 起こせって言ったのに……!」  スマホで時間を確認し、ベッドから飛び起きたところでメールが入っていることに気が付いた。見るとそれは同じ店で働く桜子から。 「は? なんなのよ、桜子があたしに……? プライベートな話なんて今まで一度も」  中を確認すると、やけに長文のメッセージが届いている。 【ルナさん。  言おうかずっと迷ってたけど、マジでヤバいから言っときます。  あなたが付き合ってる亮二って男、私も前にちょっと付き合ってたんだ】 「はあっ!? なにそれ、聞いてないんですけど!」  それでいちいち睨んできたのか。頭に血が昇りながらもルナは妙に納得していた。 【でもアイツ、けっこうヤバいやつで。ヤバい奴らとも関係あって。別れた理由もホントヤバかったんです。ある日アイツ、私に】  その時、部屋の鍵を開ける音が響いてきた。ルナがスマホから玄関に目を向けると、入って来たのは見知らぬ男達。 「え、誰!? ちょっと人んちに勝手に……」 「ルナってのはあんたか。俺たちとちょっとドライブしないか」 「やっ……!」  有無を言わせず肩を掴まれ、抵抗しても数人の男達に抱え上げられてしまう。 「いやあああ! なに、なんなの、いったい……!」 「亮二っての、お前の男だろ? あいつがな、ウチの金に手ぇだしやがったんだよ。それをアンタから取り立ててくれってさ」 「は!? い、意味がわか……! お金なんてないよ! あるわけない!」 「だろうなぁ。だから身体で……っていっても」  ニヤリとリーダーらしき男が不気味な笑みでルナを見返す。 「金にするのは臓器だ。亮二はもう先に、あちこち売りさばかれてる頃だ」 「……ッ!! ま、待って! 娘がいる! 娘の方が肝臓も膵臓も、心臓だって綺麗だよ! いやあああぁあ……」  プロの仕事は素早い。おそらく隣近所も、今の出来事に気付いてはいない。  ルナが連れ去られた部屋の中で、桜子からのメールがまた届いた。 【ある日アイツ、私に「腎臓を一つ売ってくれ」って言い出したから】  ピロン♪ 【次に付き合い出したって噂のルナさんを見に行ったんだけど、なんか他人事と思えなくてさ。つい同じ店に入店しちゃった】  ピロン♪ 【ルナさん、マジでアイツとは別れたほうがいいよ。マジでそんなヤバい誘いに乗っちゃダメだよ……マジで】  
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