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※~※~※
「……っ!」
目を覚ますと室内灯の明かりがやけに眩しくて、ルナは目を瞬かせた。
「やだ……なんか、夢見てたような……」
とはいえ、内容は思い出せない。ただザワザワとした落ち着かなさだけが残っている。
「……あ! もう八時過ぎてんじゃん! 起こせって言ったのに……!」
スマホで時間を確認し、ベッドから飛び起きたところでメールが入っていることに気が付いた。見るとそれは同じ店で働く桜子から。
「は? なんなのよ、桜子があたしに……? プライベートな話なんて今まで一度も」
中を確認すると、やけに長文のメッセージが届いている。
【ルナさん。
言おうかずっと迷ってたけど、マジでヤバいから言っときます。
あなたが付き合ってる亮二って男、私も前にちょっと付き合ってたんだ】
「はあっ!? なにそれ、聞いてないんですけど!」
それでいちいち睨んできたのか。頭に血が昇りながらもルナは妙に納得していた。
【でもアイツ、けっこうヤバいやつで。ヤバい奴らとも関係あって。別れた理由もホントヤバかったんです。ある日アイツ、私に】
その時、部屋の鍵を開ける音が響いてきた。ルナがスマホから玄関に目を向けると、入って来たのは見知らぬ男達。
「え、誰!? ちょっと人んちに勝手に……」
「ルナってのはあんたか。俺たちとちょっとドライブしないか」
「やっ……!」
有無を言わせず肩を掴まれ、抵抗しても数人の男達に抱え上げられてしまう。
「いやあああ! なに、なんなの、いったい……!」
「亮二っての、お前の男だろ? あいつがな、ウチの金に手ぇだしやがったんだよ。それをアンタから取り立ててくれってさ」
「は!? い、意味がわか……! お金なんてないよ! あるわけない!」
「だろうなぁ。だから身体で……っていっても」
ニヤリとリーダーらしき男が不気味な笑みでルナを見返す。
「金にするのは臓器だ。亮二はもう先に、あちこち売りさばかれてる頃だ」
「……ッ!! ま、待って! 娘がいる! 娘の方が肝臓も膵臓も、心臓だって綺麗だよ! いやあああぁあ……」
プロの仕事は素早い。おそらく隣近所も、今の出来事に気付いてはいない。
ルナが連れ去られた部屋の中で、桜子からのメールがまた届いた。
【ある日アイツ、私に「腎臓を一つ売ってくれ」って言い出したから】
ピロン♪
【次に付き合い出したって噂のルナさんを見に行ったんだけど、なんか他人事と思えなくてさ。つい同じ店に入店しちゃった】
ピロン♪
【ルナさん、マジでアイツとは別れたほうがいいよ。マジでそんなヤバい誘いに乗っちゃダメだよ……マジで】
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