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※~※~※
──次にルナの目に映ったのは、光沢のある白と黒の格子柄の床だった。
ぼんやりとあたりを見回すと、やけにだだっ広い部屋のようだが周囲は薄暗くてよく見えない。
「やぁだぁ……なにここ。どこのキャバクラだよ」
「キャバクラ? そりゃアンタの職場だろ」
背後からの声に振り返ると、そこには奇妙な格好の少年が立っていた。だぶだぶのシャツに吊りの半ズボン、おまけに真っ赤な三角帽子をかぶっている。
「ようこそ夢の世界へ。ゲームしようよ、オバ……えーと、おねぇさん」
「夢? ここってあたしの夢の中なのぉ? で、キミはナニ?」
少年がバチンと指を鳴らすと、床から巨大なカードのような物が次々とせり上がってきた。
「……!? これ……」
そこに描かれているのは0から21までの数字と、不気味な人獣や骸骨の姿。西洋のローブのような衣装をまとった男や女の絵柄もある。
やがてカードはルナと少年を取り囲み、円形にズラリと並んだ。
「ボクはゼロ。夢は夢でも、ここはアルカナが支配する寓意世界。アンタの運命を左右する場所さ」
「……あ! これってタロットじゃなぁい? 店の側に占い師のババアがいて、そこで見たことあるぅ」
ルナはもの珍し気に自分たちを囲む巨大なカードを見渡した。
「そう、これはタロットカード。それぞれに意味と役割があって、人間の運命に深く関わってる。今日のゲームでおねえさんに影響するのはどのカードだろうね」
クスクス笑うゼロにゆっくりと視線を合わせ、ルナもおっとりとした笑顔を返した。
「あのねぇボク」
「ゼロ」
「ゼロくん。悪いんだけどぉ、あたし占いにもガキの遊びにも興味なぁい」
「ボクも。猫撫で声のキモいオバさんの運命になんて興味ないけどさ」
笑顔のままのルナに、ゼロはなおも続ける。
「アンタには13番目のカードが迫ってるんだよ。ほら」
周囲のカードが緩やかに回り出し、やがてその中の一枚が宙にふわりと浮かび上がった。それは黒いフードの付いたローブを纏い、黒光りする鎌を掲げた……骸骨。
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