13番目のアルカナ ーfork in the roadー

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※~※~※  ──次にルナの目に映ったのは、光沢のある白と黒の格子柄の床だった。  ぼんやりとあたりを見回すと、やけにだだっ広い部屋のようだが周囲は薄暗くてよく見えない。 「やぁだぁ……なにここ。どこのキャバクラだよ」 「キャバクラ? そりゃアンタの職場だろ」  背後からの声に振り返ると、そこには奇妙な格好の少年が立っていた。だぶだぶのシャツに吊りの半ズボン、おまけに真っ赤な三角帽子をかぶっている。 「ようこそ夢の世界へ。ゲームしようよ、オバ……えーと、おねぇさん」 「夢? ここってあたしの夢の中なのぉ? で、キミはナニ?」  少年がバチンと指を鳴らすと、床から巨大なカードのような物が次々とせり上がってきた。 「……!? これ……」  そこに描かれているのは0から21までの数字と、不気味な人獣や骸骨の姿。西洋のローブのような衣装をまとった男や女の絵柄もある。  やがてカードはルナと少年を取り囲み、円形にズラリと並んだ。 「ボクはゼロ。夢は夢でも、ここはアルカナが支配する寓意世界。アンタの運命を左右する場所さ」 「……あ! これってタロットじゃなぁい? 店の側に占い師のババアがいて、そこで見たことあるぅ」  ルナはもの珍し気に自分たちを囲む巨大なカードを見渡した。   「そう、これはタロットカード。それぞれに意味と役割があって、人間の運命に深く関わってる。今日のゲームでおねえさんに影響するのはどのカードだろうね」  クスクス笑うゼロにゆっくりと視線を合わせ、ルナもおっとりとした笑顔を返した。 「あのねぇボク」 「ゼロ」 「ゼロくん。悪いんだけどぉ、あたし占いにもガキの遊びにも興味なぁい」 「ボクも。猫撫で声のキモいオバさんの運命になんて興味ないけどさ」  笑顔のままのルナに、ゼロはなおも続ける。 「アンタには13番目のカードが迫ってるんだよ。ほら」  周囲のカードが緩やかに回り出し、やがてその中の一枚が宙にふわりと浮かび上がった。それは黒いフードの付いたローブを纏い、黒光りする鎌を掲げた……骸骨。
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