13番目のアルカナ ーfork in the roadー

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 奥まで続く白い道の先は二股に分かれている。分かれた先は黒い靄に覆われて全く見えない。 「なに、この道……」 「ここをずんずん進んで行くと、三回別れ道がある。それを一回でも正しい方を選べたらあんたの勝ち。題してThe fork in the road ゲーム!」 「え、一回でいいの?」  三回のうちの一回。それなら十分勝機はある。 「簡単でしょ? じゃあサクッといこうか。……よーい、スタート!」  楽し気にゼロが宣言すると、その場は一瞬にして闇に包まれ、明かりは足元の白く光る道だけとなった。 「行くしかないわ。一回くらい楽勝よ!」  震える足を無理やり前に出し、ルナは道を歩き出した。このままでは本当に現実の自分に死がやってくる、そう理屈抜きで感じられる。  【もうすぐ最初の別れ道だよ】  ゼロの声だけがどこからかはっきりと聞こえてくる。進むほどに前方の闇は薄れていき、やがて道が二股に分かれているのが見えた。  その別れ道の(かたわ)らにうっすらと人影が浮かび上がる。 「え……桜子!?」  そこに居たのは同じ店で働く、キャストの桜子だった。 【別れ道にはそれぞれあんたの知っている人物がいる。その人はどっちを選べばあんたが生き残れるか知ってるんだ】 「そうなの!? じゃあ桜子に聞けば!」 【うん。でもさぁ……】  クスクスとゼロの忍び笑いが聞こえてくる。 【果たしてその人は、正しい道を教えてくれるかな】 「……!」  ゼロの言葉にルナはハッと息を飲んだ。   (そうだ……桜子にとってあたしは邪魔な存在。わざと違う方を選ばせればあたしは死ぬ!)  だがいくらライバル視しているとはいえ、殺したいとまで思うだろうか。 【わかった? これがこのゲーム、フォークインザロードの醍醐味。さあ、どっちを選ぶ? シンキングタイムは3分だよ】  別れ道で足を止めると、桜子がゆっくりと顔を上げた。 「ルナさん、正解は右だよ。早く右の道に進んで!」 「…………」  桜子の切羽詰まった表情は、本当に心配してくれているように見える。けれど客商売のルナたちにとって、そんな演技など容易いのも事実だ。
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