13番目のアルカナ ーfork in the roadー

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【あと1分。選ばないと協力者が指示する方に強制的に行かされるからね】 「わかったわよ! 急かすんじゃねぇよクソガキ!」  コワイコワイ…… クスクス……  ゼロの笑い声が癇に障る。でもそこに気を取られていたらすぐにタイムリミットが来てしまう。 (どうしたらいい? 右? 左!? 桜子はあたしを殺そうとしてる? でも……!) 【じゃあ最初だから一つヒントね。その女の人、あんたの彼氏の元カノらしいよ?】 「なっ……!?」 【彼氏が自分からどんな女に乗り換えたか知りたくて、あんたの店に勤める事にしたんだって】  あまりにも予想外の事実にルナは愕然とした。だがそれで桜子が日頃から自分を目の敵のように睨んでいたのにも合点がいく。 (でもコレは大きなヒントだわ。もしあたしが桜子の立場だったら……)  そう考えれば、答えは一つ。 「……左よ。左の道に行くわ! 右なんて嘘!」  わざわざ今カノの勤め先にコッソリ乗り込んでくるのは未練がある証拠。虎視眈々と復縁のチャンスを狙っていたに違いない。 (残念だったわね、あたしとリョージくんは心から愛し合ってるし、絶対生き残ってやる!)  左を宣言した途端、桜子は能面のように表情を失くした。そんな彼女を置き去りに、ルナは別れ道の左にスタスタと進んで行く。  すると黒い靄が消えていき、新たな白い道が現れた。 「ゼロ、どうなの!? 正解でしょ!」 【……答え合わせは最後の別れ道を選んでからだよ】  上空に向かってチッと舌打ちをする。  だが勝負は一つでも正解を選べば勝ちなのだ。これでかなり気持ちに余裕ができた。 「どんどん行くわよ! 二番目の分かれ道は遠いの?」 【慌てることないだろ。……すぐだよ】  ゼロの言う通り、次の別れ道がもう見えてきた。そしてそこに佇む人はルナが今さっき思い浮かべていた人物だった。 「……ルナ!」 「リョージくん!?」  二人はどちらともなく駆け出して、きつく抱き合った。 「ルナ……ルナ! ルナが死んだら俺も生きていけない……」 「リョージくぅん……」  まさか二つ目がこんなサービス問題になるとは、ルナは思いもよらなかった。 「ルナ、次も左だよ。絶対に右に行ったらダメだ」 「ありがとう、左ね。わかった」
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