宵待月

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宵待月

床に残った温もりは 昨日までの2人分 冷め切った指先と 落ち窪んだ心に 酷く痛く染み渡る 吐き出した愛情は 今日からきっと1人分 ゴミ箱に丸めて捨てた 熱く虚しい塊を 君なんて知らなければ 君なんて逢わなければ 君なんて触れなければ こんなにも散々な 苦しみに成らなかった 今日から洗面台の 歯ブラシは1人分 並んでいたもう1本は 僕が知らぬ間に 月に攫われたらしい
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