第六章
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上体を六十度程起こし左腕と左脚をギプスで固められた樹の姿が目に入った。 樹がそこにいる… それだけでもう、どうでも良くなった。 左脚を釣られ逃げる事のできない樹は強く眼を閉じていた。顔や右手には幾つもの切り傷があった。 「…三階だぞ?」 「…」 「木が無かったら…」 「…」 「下が土じゃ無かったら…」 「…」 「…お前、死んでたかも…」 涙で声が詰まり、これ以上言葉が続かなかった。
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