第六章

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「…朝比奈」 「あ?」 「何…してんだよ?」 「え?何ってキスだよ…お前うるせぇから」 「いや、おかしいだろ⁈何?突き離せよ‼︎キモいって‼︎同情とか…そんなの…」 「落ち着けよ、バカか…」 樹の肩をトントンと優しく叩いてやると、深い呼吸を数回繰り返した。涙で潤んだ瞳で俺を見つめ 「俺、死にたかった訳じゃないから…だから大丈夫だからもう…」 樹は一旦言葉を切り、深く息を吐き出した後 「今までありがとう」 そう言って笑った。 「分かってる。良いんだよ、逃げんなよ…」 樹を強く抱きしめた。 あぁ…あったけぇーな… 死んでたかも知れないって、もう二度と会えなかったかも知れないって…考えるだけで涙が溢れ出して止まらない。
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