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翌日、登校するなり俺のところに来たのは要司だった。
「お前、中距離に出んの? あんな辛い競技よく候補に入れたな」
校舎の入口に体育祭の出場者リストが張り出されていたらしい。寝耳に水状態の俺はリストを確認しに行くと、確かに800m走に自分の名前があった。俺は勿論希望になんて入れてない。
(やられた……美帆が勝手に俺をねじ込んだんだ)
俺はそのまま美帆のいる教室へと向かおうとしたけど、ホームルームの時間になってしまったので昼休みに再度美帆の元へ向かった。
「すみません、大橋美帆います?」
教室の入口からだと見当たらなかったので近くの人に声をかけると、奥から女子2人が駆け寄ってきた。
「沢村くん、美帆、陸上部の先輩マネージャーに連れて行かれたっぽいの。様子見に行ってもらえない? たぶん屋上にいるから」
2人の緊迫した様子に只事ではない雰囲気を察知して、急いで屋上へ向かった。人気のない屋上の端の方で、女子が4人かたまっていた。
「1年のくせに大会メンバーに口出ししてんじゃないよ。高坂先輩に気に入られてるって勘違いも程々にしなよ?」
美帆が3人に詰め寄られている。たぶん体育祭の出場メンバーの話だろう。
「1年生で中距離走る人がいないから良い人いないかって相談受けただけです。実際いい人見つけてきましたよね」
美帆も負けじと反論していた。
「帰宅部の人連れてきておいて何威張ってるのよ。そんな人役に立つわけ無いでしょ」
言い方はキツいけどまあ、言いたいことは分かるかなと思ってしまった。
「でも昨日の練習では渡辺先輩と同等、いえそれ以上くらいの結果残してましたけどね」
ここでそんな強気なこと言うのは悪手だろう、俺だってそう感じる発言に、当然ながら3人の先輩達は怒り心頭だった。
「はぁ? 渡辺くん馬鹿にしたら許さないよ」
1人の先輩に腕を掴まれたあたりで俺は出ていくことにした。
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