高校3年 冬 秘密

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先生の部屋の中は暖かかった。 1年前にみんなと来た時と、家の中は何も変わらないのに、サイドテーブルも小さめのソファもテレビも、全て別の生き物のように息づいている。 「ほら これで拭いて。 帰りはちゃんと傘さして帰れよ」 先生はタオルを私の手に差し出した。 それを受け取ったけれど、先生の部屋に入れたことがまだ信じられなくて、そのまま動けないでいた。 「こら ちゃんと動け」 先生は私の手からタオルを取ると、笑いながら 私の頭をゴシゴシと拭いた。 そんなふうに触れられたら、私…。 もう、自分を止められないよ。 先生…。 先生、大好き…。 このまま時が止まればいい。 このままずっとこうしていたい。
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