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高校3年 冬 夜の川
3階建て部活棟1階の中央階段から、制服にコートを羽織った高校生が、ゾロゾロと出て来た。
「わ、思ったより降ってるね」
みんなで空を眺めながら傘をさした。
卒業式の時には小雨だったのに、部室で騒いでる間に、雨は本降りになったらしい。
春といっても、天気が悪い夕方は結構寒い。
「さっむ」
卒業式の後、3年間続けた弓道部のお別れコンパで、部室でお菓子とジュースで騒いだ。
これで下級生と本当の別れだ。
「先輩、大学に行っても部活に顔出してくださいね。
待ってま〜す」
「練習しっかりね。
何かわからないことがあったら連絡して」
それぞれ別れの言葉を口にすると、卒業生と在校生で別々になった。
「もう暗いね〜」
「春はまだ遠いか」
「ねえ、これからどうする?
カラオケ行く?
それともファミレス?」
卒業生のみんなに紛れて、校庭脇を歩いていると、暗い校舎の中で、職員室だけ明かりがついているのが見えた。
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