いじくりこんにゃく

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いじくりこんにゃく

背中側の襖が開いたような気がして後ろを振り向くと心さんがいたからビックリした。 慌てて胸元を掻き合わせた。 「何しに来た?」 「待てど暮らせど兄さんが来ないから迎えに来た」 「今どういう状況か分かっているよな」 「分かってるよ」 心さんが手に持っていた薄手のべージュ色のカーディガンを肩に羽織らせてくれた。 「薄着でいると風邪をひくって裕貴さんが心配してたよ」 「ありがとう心さん」 「未知とはいつでもイチャイチャ出来るでしょう。兄弟水入らずで過ごせるの次はいつになるか分からないんだよ。それともあれか」 「なんだ?」 「ううん、なんでもない」 心さんが口にしたのは、意味深でつかみどころのない言葉ばかりだった。 「何でお前たちまでいるんだ」 「なんだもう見付かっちゃった」 「残念」 紗智さんと那和さんと亜優さんが心さんの後ろから顔をひょいと顔を出した。 「あのな~~」 「マーと子どもたちとたまには一緒に寝たいよね?」 うん、うんと那和さんと亜優さんが大きく頷いた。 「なんとかこんにゃくもしたいよね?いつもバーバばっかりズルい。地竜がいるときも目をこうやってつり上げて睨むから怖くてマーに近付けないんだよ」 紗智さんが目尻に指を置き上に引っ張った。 「なんとかこんにゃく?あぁ~~いじくりこんにゃくな」 「うん、それ。さすがはバーバ」 紗智さんがぱちぱちと手を叩いた。
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