いじくりこんにゃく

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そのころ鈴木さんのお孫さんは繁華街のギャバクラで派手に遊んでいた。お金もないのに高いお酒を注文し、美女を両脇に侍らせ、それこそどんちゃん騒ぎをしていた。 まさかそんなことになっているとは誰も知らなかった。 真山さんは上澤先生のところで診察を受けたあと紹介状を書いてもらい、明日改めてN総合病院の小児科を受診することになった。部屋が空いているのに仏間で寝たいの一点張りで。安置されている望実さんの骨壺から離れたくなくてそこで寝起きしている譲治さんと三人で寝ることになった。 相当疲れていたみたいで横になるなりすぐに寝落ちした真山さん。聡太くんはお目目ぱっちりで、機嫌よくおしゃべりをしていた。はじめこそ寝たフリを決め込み絶対に面倒はみないと心に誓った譲治さんだけど、ぐずって泣き出した聡太くんをどうしてもほっとくことが出来ず、聡太くんに添い寝し胸をぽんぽんと優しく叩いたりして寝かし付けてくれた。 「そうじも達治も望実もとにかくよく泣いたんだ。前にそうじと達治を交代で抱っこして、ランドセルじゃなく後ろに希実をおんぶして一人で三人の面倒をみていたんだ。聡太はいいな、お父さんが優しそうで。お母さんもきっと優しくて素敵なひとなんだろう?聡太、幸せになるんだよ。俺みたいにはなっては駄目だぞ」 昔を思い出したのか聡太くんに静かに語り掛けていた。
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