彼と真山さん

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「言うことを聞きたくないのは分かるが、医者の言うこととバーバさんの言うことだけは聞きっせ」 「はい。どうもすみませんでした」 しゅんとして肩を落とす真山さん。 「過ぎたことをネチネチ言いたくないから止めっけど、真山さん、おめさんこそ無理しっさんなよ。聡太くんが寝ているときは横になったりして体を休めっせよ。おめさんががおっちまったら誰が聡太くんの面倒をみるんだ?頑張り過ぎっさんなよ。ちゃんと寝っせ」 「先生ありがとうございます」 真山さんの目には涙が浮かんでいた。 「バーバさんもそうだが、おめさんもたいしたもんだ。好きなおなごのややこを自分の子どもとして育てるなんぞ、誰にでも出来ることじゃない。二十五歳ならまだまだこの先にも出会いがあるべした。にも関わらずよく決意した」 斉木先生が真山さんの肩に手をそっと置いた。 「聡太くんのことは俺とバーバさんに任せて、これからどうするかちゃんと彼女さんと話し合って来っせ」 真山さんは「はい」とだけ短く答えると、彼と斉木先生に頭を下げて、橋本さんが待つ我が家へと帰って行った。聡太くんは斉木先生と一緒に病院へ戻り、そのまま入院になった。付き添いは柚原さんと鞠家さんと蜂谷さんが交代ですることになった。
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