慶悟さん

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「俺が四季を大事に思っていることはまだ内緒にしておいてください。よかれと思ってやっていたことが四季にとってはありがた迷惑だったり、施設にいたときも嫌われることばかりしていたんで俺のことを嫌っていると思います。苦手意識があるはずです。出来ることなら関り合いを持ちたくないと思っているはずです。それと」 「まだあるのか?」 彼が苦笑いを浮かべた。 「俺、たもと同じくらい四季が可愛くて仕方がないんです。四季は弟であり妹あり、目に入れても痛くないくらい可愛いんです。人一倍苦労してきたから、だから誰よりも幸せになって欲しいんです。たもから四季が一回り年上の男と結婚したと聞いて、相手がどんな人か、あまりよく知らなくて、本当に大丈夫なのか、騙されていないのかそれが心配で夜もおちおち寝ていられないんです」 慶悟さんは四季さんが両性だということ、戸籍上は女性だということを知っていた。 「心配無用だ。四季の夫の名前は朝宮和真だ。人となりはこの俺が保証する。頼むからそんなに見詰めないでくれ。背中が痒くなる」 瞬きをほとんどせず彼を凝視する男性。 「慶悟、にわかには信じられないと思うがオヤジが言っていることは事実だ。信じてくれ」 見るに見かねた度会さんが助け船を出してくれた。
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