529人が本棚に入れています
本棚に追加
/609ページ
「おぃ、真山!」
ひろお兄ちゃんが真山さんからスマホを無理矢理取り上げようとしたら、
「ちょっと待った!」
彼が止めた。
「喧嘩をするなら、その前に哺乳瓶と粉ミルクをさっさと出せ。聡太は腹が減ってんだぞ。それと、喧嘩をするなら外でやれ。子どもたちの目が届かないところでな。真山、普通はな、敵対する組の者をむやみやたらに家には上げない。今回は聡太がいるから特別だ」
彼が凄みをきかせて真山さんを一瞥した。
「赤ん坊には罪はない。だよな未知?」
「え?あ、う、うん」
話しを急にふられ、しどろもどろになって答えるとくすりと苦笑いをされてしまった。
「陽葵の面倒は俺がみるから一太たちと一緒に飯を先に食え。鶏天は揚げたてが一番旨いからな」
彼が「陽葵、パパっておいで」と笑顔で言いながら両手を広げた。
「兄貴のエプロン姿、久し振りに見たな」
「そうか?」
「やっぱり兄貴は何を着てもかっこいいな」
ひろお兄ちゃんから羨望の眼差しを向けられ、
「止せや、照れるじゃねぇか」
照れ笑いを浮かべながら頭を掻いた。
「裕貴、いい機会だ。真山に縦社会での上下関係のイロハを手取り足取り優しく教えてやれ」
「分かった。みっちり教えてやる。任せろ」
ひろお兄ちゃんがニヤリと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!