慶悟さん

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「あぁ~~そうだ!鈴木の存在をすっかり忘れていた。組事務所に急いで戻らないと。裕貴、悪いがあとは頼んだ」 「おぅ、任せておけ」 ひろお兄ちゃんが右手をあげた。 あまりの傍若無人ぶりに斉木先生も手を焼いていてお手上げ状態だと彼が話していた。 「鈴木の孫、名前が分からないから仮に名前を太郎として、医者の言うことは聞かない、サツに暴言を吐いたり、然り気無く看護師の尻を触ったり、看護師が好みのタイプだったら口説いたりと我が物顔でやりたい放題だ」 「覃と宋の上をいく変態が実際に存在したとはな。世も末だな」 オレは菱沼組の組長の親戚だ。未払いの飲み屋代とキャバクラで遊んだ金はすべて菱沼組の組長に請求してくれと言ったみたいで、とんでもない金額の請求書が来て、何も知らなかった鳥飼さんが真っ青になっていたみたいだった。 「請求書は渋川にそっくりそのまま送り付けてやった。今頃りんりんみたく真っ青になっているはずだ」 「渋川は惚れた弱みで太郎を助けるか、火の粉を被る前に見捨てるか。みものだな」 彼とひろお兄ちゃんが目を見合わせるなりニヤリと笑った。 彼が組事務所にとんぼ返りしてすぐに渋川さんでなく、宇賀神組の組長の宇賀神さんから電話が掛かって来た。
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