慶悟さん

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ー今だから言えることだが、渋川に真山は将来組を背負って立つ逸材だ。一人前のヤクザに育ててくれと預けたのがそもそもの間違いだった。後悔してももう遅いがなー 苦し気に眉を寄せて自嘲する宇賀神さん。 「渋川のいいところを見付けて褒めて伸ばすはどうだ?」 ー無理難題を言わんでくれー 宇賀神さんは彼が送り付けた請求書を見てため息ばかりついていた。 ー真山にはヤクザを辞めて福島に移住したいと言われた。真山は十年に一人の逸材なのにー 「真山が決めたことだ。意志を尊重してやろう。なぁ宇賀神さん、太郎の本当の名前は何て言うんだ?」 ー実は儂も知らんのだ。渋川に新しい男がいたこともこの請求書を見て初めて知った。面目ないー 今日も福島に泊ると真山さんから連絡をもらった橋本さんは、舎弟たちと見るからに怪しげな錠剤を溶かした酎ハイやビールを呑んだり煙草を吸ったりと乱痴気騒ぎをして羽をおもっいきり伸ばしていた。橋本さんはまだ未成年だ。 そこへ真山さんが帰ってきたからものだから、橋本さんは顔面蒼白。真山さんは一緒にいた舎弟たちの胸ぐらを掴み殴りかかった。近所のひとが110番通報し警察が駆け付ける大騒ぎになった。
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