慶悟さん

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台所でコップを洗っていたら、 「ここにいたのか。部屋にもどこにもいないから探したんだぞ」 心配顔で入ってきた彼がほっとして胸を撫で下ろした。 「ごめんなさい遥琉さん。これだけだから片付けて寝ようと思ったの。真山さんは?何か連絡あった?」 「あぁ、さっきな。真山が家に帰ったら、橋本と舎弟たちは大麻を吸って乱パーをしていたみたいだ。一緒にいた男数人と女子高校生二人も一緒に逮捕された。家のなかは異臭がして、足の踏み場もないくらいしてしっちゃかめっちゃかに散らかっていたみたいだ。橋本は開き直り、産みたくて産んだんじゃない。殺すか捨てるつもりで連れてきたのにあんたが聡太を可愛がるから。計画が狂った。そんなに欲しいならくれてやる。焼くなり煮るなり好きにしろ。お前みたいな下手くそな男は嫌い。とまぁこれ以上は割愛するが真山に侮辱的な言葉を浴びせた。真山は一切反論せず、聡太は俺が引き取り育てる。短い間だったがきみと一緒に暮らせて幸せだった。ありがとうと橋本に伝えたそうだ。真山は渋川のところにいる」 腰をそっと抱き寄せられた。 「なぁ、未知。コップを洗うのは明日でいいんじゃないか?もう遅いし寝よう。陽葵が起きたらまた寝れないぞ」 髪に軽くキスをされた。 「遥琉さん、そこは駄目。くすぐったいから」 項に手が触れてきて。ぞわぞわと鳥肌が立った。項も鎖骨も急所なのに。 「未知は弱いところばっかだからな。反応がこれまた可愛いんだ。たまらん」 彼が愉しそうに笑っていた。
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