久し振りの一緒の風呂

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ガヤガヤとまわりが賑やかで目が覚めた。隣の布団を見ると陽葵がお手手を万歳して熟睡していた。 「たまげだな。おめさんたちも来ていたとはな」 「未知さんが具合が悪いと聞いて」 「姐さんに何かあったら一大事だろ」 根岸さんと直矢さんと鳥飼さんの声が聞こえてきたからびっくりした。ぴょんと跳ねた髪を慌てて手で直し、浴衣も前を合わせた。 「何もこんな狭いところでたむろしないで部屋に入ったらどうですか?通行の邪魔になってますよ」 橘さんの声が聞こえてきた。ややおいてから、 「未知さん、入るね」 ナオさんの声がして、すっと静かに戸が開いた。 「信孝さんがね、遥琉さんから未知さんが具合が悪くて寝込んでいると聞いて。心配したよ」 「そんなたいしたことじゃないの。遥琉さんもお兄ちゃんもみんなして大袈裟なんだから」 「良かった。元気そうで」 胸に手をあてると撫で下ろした。 「兄貴はあの通り馬鹿正直で嘘がつけない人だから、未知があまりにも可愛すぎて暴走した。やり過ぎた。猛省中と正直に答えたものだから、根岸たち、どう答えていいかかなり困っていたぞ」 ひろお兄ちゃんが思い出し笑いを浮かべながら部屋に入ってきた。 「これほどまで愛されている姐さんもいない。未知は俺の自慢の妹だ」 頭をぽんぽんと撫でられた。
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