那奈姉さん

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「でも読んでくれるかな?」 「読んでくれるさ」 「あのひろお兄ちゃん、さっき子ども三人抱えって言ったよね?もしかして那奈お姉さん三人目が産まれたの?全然聞いてなかったから、その……」 有紗ちゃんは遥香より半年遅い十一月生まれだ。 「三人目の子どもは福井のことだ。兄貴の上をいく甘えん坊の駄々っ子で、有紗より手が掛かると那奈が嘆いていた。陽葵が産まれたと聞いて、子どもがもう一人欲しいと言い出したんだ。二番目の……あれ、名前なんだっけな?みんな似たような名前ばかりだからすっかり度忘れしてしまった。産まれてくるまで悪阻が酷くて、切迫早産になりかけて入院したり、臨月のときに前置胎盤だと分かり入院したりと、あれだけ大変な思いをしたからもう子どもはいらないと言っていたのにな。福井が仕事が休みのときは子どもたちを俺と心に預けて朝から晩まで子作りにせっせと励んでいるよ。来年にはもう一人産まれるかも知れないな」 「朝の六時にいきなり電話が来て、玄関の前に二人を置いてきたからあとはお願いね、夜まで電話は繋がらないから連絡は寄越さないで。那奈はいつもそうやって丸投げだよ。警備担当の若いのがいるから連れ去れることはないけど。何かあってからでは遅いのに。本当になにを考えているか分からない」 心さんがため息をついた。
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