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「問いたださないと気が済まない」
紗智さんが真山さんを探しに玄関に向かおうとしたら、
「その必要はありませんよ」
橘さんがすっと現れた。
「だって橘」
「裕貴さんはその火傷の痕に気付いてましたよ。だから真山さんを外へと連れ出したんです。裕貴さんにお任せしましょう」
「そんな悠長なこと言ってて手遅れにならない?」
「今のところは大丈夫です」
「今のところはって……」
紗智さんが心配そうに眉を寄せた。
「紗智さんと那和さんが怒るのも当然です。どんな事情があっても許されることではありませんかね」
橘さんが一枚の写真を彼に渡した。
「写真に撮られるのが大嫌いでその一枚を撮影するのも大変だったと真山さんが話していました」
写真は聡太くんのお宮参りのときの写真だった。聡太くんを笑顔で抱っこする真山さんの隣には背がすらりと高くとても綺麗な女性が厳しい表情で立っていた。
「なんかさぁ~~」
しばらくその女性を眺めていた彼。
「やっぱりそうだ。まゆこと同じ目をしてる。気のせいかも知れないと思ったが気のせいじゃない。人をいたぶり殺すのが愉しいそんな目をしている」
「さすがは遥琉。鞠家さんと蜂谷さんと伊澤さんも同じことを言ってました」
「聡太にも真山にも一切興味なし。橋本は一体誰に微笑んでいるんだ?これを撮影したのは?」
「真山さんの弟分です。橋本さんの護衛をしているので真山さんにはつきて決ませんでした」
「へぇ~~」
彼が何かに気付いたみたいだった。
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