真山さんと聡太くん

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「デートらしく腕でも組むか?」 「いいの?あとで青空に焼きもちを妬かれても知らないよ」 「そのくらいで焼きもちを妬かない」 七海さんが嬉しそうににこっと微笑んで蜂谷さんの腕に抱きついた。 「七海さんに色々と悩みを聞いてもらいそうです」 「七海は色恋沙汰に疎い朴念仁に長年片想いしていたからな。そうか、いい機会かもしれないな」 感慨深げに二人を見送る彼と橘さん。 「行ってらっしゃい」 紗智さんがぶんぶんと手を振った。 「ハチ、人妻をホテルに連れ込んだらだめだよ」 那和さんの言葉に思わずこけそうになる蜂谷さん。 「あのな那和……」 「ずいぶんと楽しそうだな。外まで聞こえていたぞ。仲がいいな」 ひろお兄ちゃんと真山さんが戻ってきた。 「聡太、ごめんな」 でれでれの笑顔になると聡太くんを抱き上げた。 「真山、なにか忘れていないか?」 彼に指摘され、ぎくっと肩を震わせる真山さん。 「未知……じゃない、未知さんだ。重いのに聡太を抱っこしてくれてありがとう。聡太に代わり礼を言う」 「いえ、その……あの………」 腰を九の字に曲げ、深々と頭を下げられたから面食らってしまった。 「首もまだ座ってないのに、おんぶなんで出来っこないのに、喜代子の言葉を疑いもせずに鵜呑みにしてしまった俺が一番悪いんだ」 真山さんは自分のとった行動や間違った決断を心の中で責めた。
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