代行人、木沢祐人の一日 〜追跡編〜

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若葉(わかば)。ちょっといいかな?」  昼休み、私は幼馴染みの祐人(ゆうと)と、弁当を食べながらしょうもない話をしていると、友人の緑川華(みどりかわはな)が話しかけてきた。 「いいけど。どうしたの?」  私の前の席を勧め、華にそう聞いた。だが、勧めたところで、ふと思った。 「祐人は、いないほうがいい?」  男子には聞かれたくない話かもしれない。そう思っての質問だったが、なぜか祐人は私達を止めた。 「え、何で?ここにいたらいいじゃん。僕の悪口も、ここで話してオッケーだし」  いいのか。というか、何で悪口話が前提なんだ。  そんな祐人の発言に、華は首を横に振る。 「違うよ。それに、木沢(きざわ)くんの悪口を言う人なんていないでしょ」  確かに。変人というのはよく聞くが、祐人の悪口は聞いたことがない。祐人は、華の言葉に嬉しそうに微笑む。 「え、そう?でもいざ、悪口大会が始まったらどうしようかと思っちゃったけどね」  そして祐人は首を傾げて、話を相談内容に戻す。 「で?若ちゃんに話そうと思った内容は?」 「えっと、葉山(はやま)くんのことなんだけど・・・」  華は自分で葉山くんの名前を言葉にしただけで、顔が真っ赤になっていた。  なるほど、そっち系か。私には不向きの内容かもしれない。
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