お背中流します

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すると、突然紅鳶が振り向いた。 そして裸になったアオキを見るとフッと笑みをこぼす。 「最初から脱いでいればいいものを」 その口調に責める素振りは微塵もない。 しかしアオキの方は自分のちぐはぐな行動が恥ずかしくてたまらなかった。 「す、すみません…こんなつもりじゃなかったんです…俺、本当に純粋に背中を流したかっただけで」 正直紅鳶の裸を見た時から下心は僅かにあった。 だが、それが目的だったわけじゃない。 好きな人に触れれば、自然と身体が疼いてしまうのだ。 「ほう…それで?まだ、流すだけでいいのか?」 紅鳶はアオキの手を引くと、自分の膝の上に導いた。 横抱きにしたアオキが落ちないよう紅鳶の腕が腰にまわされる。 肌が触れる面積が増えたのと、紅鳶の表情がしっかりと見えることがアオキの肉体に更に火をつけた。 日本酒風呂のアルコール成分も相まってか、アオキの頭はたちまち抱かれたいモードへと切り替わる。 「俺をこんな風にしたのは誰だ?ん?」 アオキの変化を読んでいるのか、紅鳶が誘うように耳元で囁く。 こんな風に、のところでアオキと紅鳶の間にある昂りがグッと押しつけられた。 泡と蜜に濡れたそれは、何かを貫きたいと言わんばかりに雄々しく凛々しくそそり勃っている。 アオキはゴクリと唾を飲み込むと、紅鳶の身体を跨ぎ、対面座位の向きになった。 そして紅鳶の男根を指先で撫でながら、ゆらゆらと腰を揺らす。 きっと後ろから見たら目を覆うほどはしたない姿になっていることだろう。 「っ…は、ぁっ…背中はまたあとでちゃんと流します…その前に…俺の中に挿れてください」 発情期の獣のようなアオキの姿と言葉に、紅鳶の唇が弧を描く。 「望み通りに」 そこからはもうめちゃくちゃだった。 泡と愛液まみれた身体は全身潤滑剤を塗られたかのように滑り、その滑りが二人の快楽を更に増加させた。 床の上で二回、バスタブの湯の中で一回、中出しした精子を掻き出す行為から発展して続けて二回。 激しいセックスからスローなセックスまで、あらゆる対位で貫かれ、イかされ、泣かされ続けた。 結局アオキは風呂場での激しいセックスでのぼせてしまい、紅鳶の背中を流すという目的は完遂できないまま休日は終わってしまったのだった。 「すみません…俺結局何もできなかった…」 自分の不甲斐なさにアオキは落ち込んでいた。 休みの日の時間の経過の速さも憎たらしい。 しかし、落ち込むアオキとは裏腹に紅鳶はいつも以上に上機嫌だ。 俯くアオキの頭をくしゃくしゃとかき混ぜると、肩を引き寄せて抱きしめられる。 「そんなことはない。俺のために何かしたいと思ってくれるその気持ちだけで元気になれるもんだ。それに風呂場でのセックスはなかなか新鮮でよかった。今度はアオキが全身を使って俺を洗ってくれるサービスがあったら最高だな」 見上げると、紅鳶が悪戯っぽく片目を瞑る。 「絶対やります!!」 紅鳶のためならどんなことでもやってみせる。 アオキの献身的愛情はまだまだ続く。 end.
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