好きな人

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苺は一瞬頭の中が真っ白になった。 まさか楼主の口からそんな言葉を聞けるとは思ってもみなかったからだ。 顔が焼けるように熱い。 多分心臓は今までにないくらいフルスピードで稼働している。 もはや爆発寸前だ。 すると、楼主が耳元でふっと息を吐いた。 「鵜呑みにしたのか?ダサいな」 囁かれたセリフに、苺の頭にカッと血がのぼる。 さっき苺が楼主に言った言葉をそのままそっくり返されたのだ。 「〜〜〜っっ!!!クソジジイ!!」 揶揄われたことが悔しくて、苺は暴言を吐くと、キッと楼主を睨みあげた。 少しの間だが、本気で受け止めてしまった自分が情けなくて恥ずかしい。 自分も同じことをしてしまった以上傷つく資格はないのだが。 楼主はどこ吹く風という態度で、 「まだまだガキだな」 と鼻で笑う。 腹は立つのだが、それ以上に楼主の鷹揚な態度や意地が悪いところちも胸をときめかせてしまう自分の恋愛感情の方が腹立たしい。 楼主は更に続けた。 「まあ、こういう駆け引きが一人前にできるようになったら…そうだな、お前の好きなことを何でもしてやる」 「…へ、へぇ…好きなことってなに」 「たとえばてめぇのアソコを乾く暇がねぇくらいにいじくりまわす」 とか…と続けた楼主の目が苺の下半身に注がれる。 それだけで苺の膝はふるえ、腰が砕けそうになってしまった。 だめだ。 揶揄われているとわかっているのに、鵜呑みにしたらいけないのに、脳が勝手に想像して身体が反応してしまう。 この時ようやく気づいた。 自分が完全に楼主の虜になってしまっていることに。 その後、菖蒲から目を離すなと釘をさされた苺は解放された。 だが楼主とのやりとりを思い出しては、下腹部を熱くさせてしまうという悶々とした日々に悩まされることになったのだった。 end. 菖蒲は罰に加え、殺意むんむんの苺から追いかけまわされましたとさ。
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