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「次は舌を出してごらん」
ほんのりと官能をにおわせるような言葉にマツバの心臓は跳ね上がる。
おずおずと舌を出すと、そこにチョコレートの粒が乗せられた。
味蕾がすぐに甘味を感知し、早く口の中で転がしてしまいたい衝動に駆られる。
だが、すぐに窘められた。
「まだ口に含んではだめだよ」
優しく命じられ、マツバはグッと我慢する。
しばらくすると、チョコレートが舌の上で溶けはじめた。
じわじわと広がる大好きなカカオの香ばしさがマツバの食欲を高めていく。
たちまち唾液が溢れ、口から溢れてしまいそうになった。
よだれを垂らすなんてみっともない姿西園寺に見られたくない。
「いいよ」
すんでのところでお許しをもらい、マツバは溢れた唾液とともにチョコレートを飲み込んだ。
今度は少しビターなチョコレートだった。
だがすぐに内側からとろっとしたキャラメル風味のヌガーが広がり、ビターチョコと混ざってほどよい甘さへと変わる。
「早く食べてしまうのもいいけど、こうしてゆっくり味わうのもいいと思わないか?」
西園寺の言葉に、マツバはなるほどと頷いた。
確かに、いつもよりより深くチョコレートの味わいを感じることができた気がする。
マツバはいつもガツガツと食べてしまう癖がある。
贈り物でしか食べられない甘味品は特に。
これからは西園寺のように、じっくり余裕を持って味わう大人な食べ方を学ばなければならない。
「これからはもっと味わっていただきます」
マツバがそう言うと、西園寺は再び目を細めた。
「マツバはマツバの食べ方で構わないよ。俺も腹が減ってる時はガツガツいってしまうからね。でも時々じっくりと味わうことも食事の愉しみ方の一つなんじゃないかな?」
たとえば…と西園寺が続ける。
そしてマツバの着物の裾からするすると手を潜り込ませてきた。
「素材を知る事も重要だ」
マツバはあっ、と小さく喘いだ。
大きな手が太腿をじっくりと撫であげてきたからだ。
「どこをどう使うか、何と掛け合わせたら完璧な料理になるか。もっともっと追及すれば、素晴らしい料理が完成する」
滑らかな肌を堪能するように動く手のひら。
時々指先が肉に食い込んできては、優しく揉みしだかれる。
マツバはそれだけでビクビクと身体をふるわせた。
西園寺に触れられるといつもこうなってしまう。
他の客には反応しないところでも西園寺が触れると全部が性感帯になってしまうのだ。
「そこでだ。今日はマツバをじっくり研究してみようと思うんだ」
いいかな?と、甘い声で囁く西園寺。
マツバは半分頭をふわふわさせながら、よく意味もわからずにそれに頷いたのだった。
※皆さん聞いてください。あーるさんがチョコ乗せ舌ぺろんちょのシーンをファンアートとして描いてくださいました!
西園寺(変態)のプレイにどこまでも従順なマツバ。二人の関係性が描かれたステキすぎるファンアート❤️読んでいただけるだけでも嬉しいのに、こうしてイラストにしていただけて私本当に幸せです!明日くたばってもいいくらいです!ありがとうございます!!
まだまだねちょねちょ続きますが、(くたばれない)よかったらもう少しばかしおつきあいいただけたらと思います!!
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