甘い痛み

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「あ、あの…西園寺様…何も見えないのですが」 マツバはおろおろとしながら暗闇の中で必死に目を凝らした。 「そりゃあ目隠しをしてるからね」 マツバの不安をよそに、西園寺は愉快そうに笑っている。 マツバの目は目隠し布に覆われていた。 かろうじて部屋の明かりは感じることはできるが、西園寺の姿は見えない状態だ。 これが西園寺のいう研究というやつなのだろうか。 マツバは頭の中ではてなを浮かべた。 見えないということはつまり、マツバから西園寺に何もできないということになる。 「でもこれではご奉仕ができません」 「いいんだよ、今日はこれで」 西園寺はそう言うと、今度はマツバの両手を一纏めにし、柔らかい紐のようなもので縛ってきた。 痛みはないが、そう簡単に外せそうにないことがわかる。 これではますます何もできない。 西園寺がしたいことならなにをされても構わないと思ってはいるが、男娼がされっぱなしでいいものかと考えてしまう。 彼は大金をはたいてマツバを買ってくれているからだ。 シュルリと帯が解かれ、着物の前がはらりと開く。 肌に触れた空気に一瞬ひやっとしたしたが、マツバの身体はすぐに熱くなった。 西園寺が見ていると思うだけで感じてしまう。 すると、近くで何やら道具箱を漁る音が聞こえてきた。 蜂巣に置かれた道具箱には、潤滑剤やさまざまな淫具やコンドームなどが入っている。 視界が遮られている分、音を頼りにするしかないのだが、何を使われるか全く予想できない。 すると、不意に首筋に何かが触れた。 「ひゃっ」 マツバは思わずおかしな悲鳴をあげてしまった。 「な、なに…」 一瞬触れた感覚から柔らかなものみたいだが、全く見えないため正体がわからない。 「さあ?なんだと思う?」 マツバの反応がよほど面白いらしい。 西園寺がくつくつと笑った。
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