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「あっ…っ、んっ!!」
マツバの唇から甘い声が溢れた。
柔らかな穂先に散々撫で回されていたせいか、先端中心の刺激が快楽神経に響いてくる。
陰茎は腹を打たんばかりに勃ちあがり、蜜は次から次に溢れ太ももまでぐっしょり濡らしている。
だが、達するにはまだ遠い。
「気持ちいいかい?」
西園寺が訊ねてきた。
まるで舐めまわすかのように筆の先が先端だけをぬるぬるとせめてくる。
ビクビクと腰をふるわせながらマツバは答えた。
「は…はぃっ…んっ、んっ…あうっ」
気持ちいい。
使わないとはいえ、マツバも一応男なため、性器への愛撫は気持ちいいと感じる。
だが、もっと別の場所に刺激がほしいのが本心だった。
なぜならマツバはもうこれ以上の刺激を知ってしまっているからだ。
それは、いつもマツバの腹を深く抉り、内臓を掻きまわし奥を激しく突き上げてくる太くてかたくて、熱くて逞しい西園寺の…
思い出すだけで、まだ一ミリも触れられていない場所がひくひくと蠢く。
「いいよ、正直に答えてごらん」
そんなマツバの心境に気づいたのか、それとも初めからわかってそうしていたのか、西園寺が再び訊ねてきた。
マツバは躊躇いがちに口を開く。
「あ…あの…っ…お…おしりも…その…」
だが、すぐに言葉に勢いがなくなっていく。
男娼として、客に対し露骨な言葉で強請ることもテクニックのひとつだと習った。
だが、挿れてほしいなんて言葉を使ったりしたら西園寺に引かれてしまうのではないかと一瞬考えてしまったからだ。
「ん?おしりも…そのあとは?」
西園寺がすかさず訊ねてくる。
声色がややきつくなったのは気のせいだろうか。
マツバは咄嗟に答えた。
「いえ…あの…っなん…でもない…です」
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