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ところが、あとわずかで達する寸前で下肢から刺激が消えてしまった。
さっきまでブルブルとしていた淫具の振動が完全に止まっている。
容赦のない快楽攻めもきつかったが、その快楽をとりあげられるのはもっときつい。
あと少しで吐き出せそうだった熱が、出口を求めてマツバの体内で暴れはじめた。
「ぁ、うぅっ…っ」
マツバはなんとかして刺激を得ようと両手を伸ばす。
しかし、縛られた両手はたちまち頭の上に持っていかれると、ここが定位置だと強く押さえつけられてしまった。
絶望を感じると同時に少し安堵する。
西園寺がそばにいることがわかったからだ。
「あ…っ、あの…西園寺さ…ま…」
「なんだい?」
落ち着いた声がすぐ傍から聞こえてきて、また身体の芯が熱くなってくる。
「あ…あの…さ、さっきのは…お、おしまいですか?」
「さっきの?」
マツバの質問に西園寺が訊ね返してくる。
マツバは言葉を詰まらせた。
西園寺はマツバが早くイきたくてたまらない事を知っているはずだ。
慎ましく勃ちあがった陰茎も、まだ一度も触れられていない後孔も、筆で嬲られた乳首も、どこもかしこも早く西園寺に触れてほしくてずっと疼いている。
しかし僅かな理性が働き、自分の欲望を口にするのを躊躇ってしまう。
ほら、見ろ。やっぱり肉欲に弱い男娼だな、と思われたくないのだ。
「マツバ」
唇を噛み締めていると、西園寺が耳元で優しく名前を呼んできた。
砂糖でもまぶしたかのような甘い声色に、腹の奥がきゅんと切なくなる。
「遠慮しなくていい、してほしいことを言ってごらん」
「で、でも…」
「俺はね、マツバが俺の手で気持ちよくなってぐちゃぐちゃに濡れる姿を見るのが好きなんだ。だからマツバが我慢をすると、俺から楽しみを奪うって事になるんだよ」
西園寺はそう言うと、マツバの耳たぶに吸い付き、軟骨をじっくり舐め上げると、最後に耳穴に舌を差し込んできた。
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